●石井方式 幼児からの漢字教育について
石井方式漢字教育は、漢字で言葉を育む教育として、
石井勲(いしいいさお)教育学博士の研究と実践によって誕生した、
全国約700の幼稚園・保育園等で用いられている教育です。
また(株)登龍館発行、漢字かな交じり文絵本『漢字の絵本』シリーズは、
この石井方式漢字教育のための絵本として、1967年に誕生。
以来、現在まで多くの幼児に親しまれています。
子供たちの国語力の低下が著しい今日、
漢字かな交じりの文章を読む必要性が叫ばれていますが、
石井勲博士は何十年も前から、
言葉を漢字で学ぶ必要性を教育界に訴えかけ、実践してきました。
漢字で言葉を学ぶことで、
国語力はもとより学習能力が向上し、読書も好きになる。
子供自身が学ぶ力を育む教育として、
石井方式漢字教育は、幼稚園や小学校などの教育現場、
教育界の権威、そして、ご家庭から厚い信頼を得ています。
●言葉を豊かにし、知能を高める漢字
漢字教育の役割は、
漢字を通じて豊かな言葉を養い、子どもの智能を高めることにあります。
人間は、言葉で物事を考え、理解します。
そして、この言葉の豊かな子ほど、知能が大きく伸び、感情や情操が豊かに育ちます。
ただしそれは、
口数が多いという意味ではなく、言葉の意味を正しく理解するということです。
どんな勉強も、まず教科書の内容や先生の話を正確に理解する能力が
なければ意味がありません。
ですから言葉を学ぶ時期に、言葉の理解能力を高める教育をすることが大切。
その道具が漢字です。
なぜ漢字なのでしょうか。
それは、漢字が一字一字が明確な意味をもつ“見る言葉”だからです。
ひらがなは表音文字・聴覚言語のため、
ひらがなで表記した言葉からは意味までは伝わりません。
対して、漢字は言葉そのものを表す表語文字・視覚言語のため、漢字で表記した場合、
言葉の意味まで理解できます。
例えば、『木』という漢字を学び、次に『森』という漢字を見た時、
『木』がたくさんあるところが『森』なんだと、言葉の意味まで自分で理解できます。
漢字で言葉を覚えると、言葉の理解度が高いのです。
●幼児にとって漢字はやさしい
とはいえ、幼児に漢字は難しい。
漢字教育を始める前に大半の方が抱く先入観です。
幼児を集めて、『鳩』『九』『鳥』の漢字のうち、
どれが覚えやすいか調べた実験があります。
結果は・・・・・・
一番覚えやすいのが『鳩』、次が『鳥』、最後が『九』でした。
幼児は、具体的なものほど覚えやすく、抽象的なものほど覚えにくい。
つまり、幼児にとって、文字の覚えやすさは、
そのものをイメージできるかどうかであり、字形の複雑さは関係ないことがわかります。
漢字は具体的なものを表す文字。
ですから幼児にとって、漢字は覚えやすい文字なのです。
●右脳と左脳を刺激する漢字
脳の発達は、乳幼児期は「右脳優位」の時代、以降は「左脳優位」へと移行していきます。
右脳は空間認識や音楽・絵画に感じ入る「感覚脳」、
左脳は理論的に物事を捉える「言語脳」です。
そして、右脳の活発な時期に刺激を与えるほど、その後の左脳の成長度合が高くなります。
通常、文字は左脳で処理されますが、漢字は右脳・左脳、両方を働かせます。
ですから、できるだけ幼い時期に、漢字にたくさん触れ、右脳を刺激するほど、
その後、備わる左脳の働き(理解力・思考力など)を、より活発にすることができるのです。
言わば、漢字教育はやがて育つ智能の種まき。
詰め込み型の早期教育ではなく、適期教育なのです。
●石井方式漢字教育の指導法
石井方式、幼児からの漢字教育は、漢字を読むことからはじまります。
具体的には、出来るだけ生きた言葉として捉えられるよう、
漢字かな交じり文で書かれた絵本を読み聞かせます。
漢字かな交じり文で読むと、ひらがなだけの文に比べて、
文の意味がダイレクトに頭に入ります。
漢字には読み仮名をふりません。
漢字を見ずに、読み仮名を追っては意味がないからです。
ですから最初は読み聞かせから。
やがて子供が自分で読むようになるのは、通常の絵本と同じです。
漢字かな交じり文の絵本を読むと、
漢字が身につくことに加え、文章を読む力、読解力がつきます。
本を読む子ほど脳が発達する。これは自明の理でしょう。
●石井方式漢字教育の成果
石井方式の漢字教育を30年以上、数多くの幼稚園保育園で実践した結果、
漢字で言葉の理解が深まり、国語力が身につくことはもちろん、
物事を分析して理解する力、また目と耳、両方を働かせて学ぶことで、
非常に高い集中力がつくことが確かめられました。
人間として学び、成長するための基礎能力が育つのです。
漢字によって豊かな言葉を身につけた子は、自ら枝葉を広げ、様々な能力を発展させます。
すべての成長の“根幹”を養う漢字教育、
それは誰もが自分の力で伸びていくための教育なのです。
●石井勲(いしいいさお)教育学博士 プロフィール
いまや、幼児にとって漢字が覚えやすい文字であることは、
幼児教育界では常識となりました。
この幼児からの漢字教育を打ち立てた第一人者が、石井勲教育学博士です。
もともと高校・中学校・小学校の教師であった石井勲博士は、
その豊富な教師経験から、国語教育、とくに漢字教育の必要性を痛感していました。
そこで小学1年生に、学年に関わらない漢字教育を実践し、
低年齢期ほど漢字の学習能力が高いことを確認。
昭和27年に石井方式漢字教育指導法を発表したのです。
しかしこの発表は、当時あまりに画期的であったため、簡単には受け入れられませんでした。
石井博士は、子供の学力向上のために、全国で講議と実践を熱心に続けました。
そして、幼稚園児への漢字教育を実践。
より知能向上効果が高いことを確かめます。
そしてその効果が認知されるに従って、世間に認められ、現在まで広がるに至ったのです。
いま石井方式漢字教育は、
全国の保育園・幼稚園はじめ小学校や海外の学校でも導入されています。
また石井方式漢字教育は、
幼児開発協会を創設したソニー元会長、井深大氏など、教育各界から支持を獲得しています。
そして、石井博士と共に、
幼児からの漢字教育を広めるために全国行脚した私たち登龍館の
『漢字の絵本』は今、全国の幼稚園、保育園などで子供たちに愛読されています。
<石井勲先生 略歴>
1919ー2004年。山梨県生まれ。
昭和17年、大東文化学院卒業後、応召。
戦後、高校教諭として教壇に立ち、
国語力を養うにはさらに早い時期の教育が必要であると考え、
中学校・小学校でも指導に立つ。
自身の経験から、漢字を用いて日本語に触れる必要性を痛感し、石井方式漢字教育を確立。
その功績が認められ、グレンドーマン博士主催、第6回世界人間能力開発会議で金賞受賞、
第37回菊池寛賞受賞。
日本漢字教育振興協會会長、国語問題協議会副会長はじめ、松下政経塾専門講師なども歴任。
著書『石井方式 幼児のための日本語塾』(登龍館)ほか多数。
●漢字教育の広がり
1961年 四谷七小で石井博士の漢字教育が新聞で紹介されたのを機に、各紙が取り上げる。
1968年 幼稚園での石井式漢字教育が始まる。
1970年 大東文化大学幼少教育研究所が設立され、所長に就任。
1973年 グレンドーマン博士主催、第六回人間能力開発世界会議で金賞受賞。
1979年 大東文化大学付属青桐幼稚園園長就任。
1989年 石井方式漢字教育指導法の樹立が評価され、第37回菊池寛賞受賞。
1994年 石井方式漢字教育導入の船橋市立法典東小学校が第43回読売教育賞・国語部門優秀賞受賞。
2004年 ご逝去