共感でしか人は育たない

9月1日は防災の日でした。

今年も様々な災害や事故があり、たくさんの方々が被害に遭われました。
心より、お祈り申し上げます。

8月に、東日本大震災の「釜石の奇跡」で知られる、群馬大の片田敏孝教授の講演をお聞きし、
控え室で少しお話しをさせて頂く機会に恵まれました。

片田先生は工学部の教授で、「教育は専門ではないので」とおっしゃっていましたが、
学校での授業や園でのアドバイス等を通じて、小さな子供たちと真剣に向き合い、一人一人と
心を込めてお話をし、まさに実践に基づく教育をされている方です。
こうした授業の内容は、テレビで何度も放送されていたり、DVDや動画等もありますので、
ぜひご覧になって下さい。

片田先生は、毎日のように日本だけでなく、世界中を忙しく飛び回り、
講演だけでなく、研究や大学のお仕事、政治やいろんな方面との付き合い等、
超多忙な日々を極められております。

その先生が、小学校や幼稚園での授業等、子供達との交流を通じて、
子供の名前や性格をちゃんと覚えていて、講演の中でお話をされます。
しかもとても穏やかな表情、語り口調で。
本当に子供達のことを思い、子供達が大好きなのだというのが伝わってきます。

災害対策というと、都市全体のことを考えたりして、大多数が助かればよいと思っても、
それはそれで間違いではないかも知れません。

しかし、「釜石の奇跡」についても、「奇跡と言われると、決してそうではない。
残念ながら生存率は100%ではなかった。そのことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。」
といつも話されます。
そしてそのあとに、「でも、子供達は本当に一生懸命頑張ってくれた」と感謝の言葉を
おっしゃいます。

本当に、心から、一人一人の命や人生と真正面から向き合っているのだと実感します。

そんな片田先生が、その時の講演やお話の中で、「共感でしか人は育たないと思います」
とおっしゃっていたのが、一番印象的であり、私もそのことに共感致しました。

先生のお話を伺っていますと、一人一人の子供の心が今どういう状況で、先生の話を
聞いた子供達がどんな反応を示したとしても、それをしっかり受け止めて、その上で、
子供自身が納得するまで、一緒に話をしていこう、そして子供達が自分自身で考え、
話をし、行動できるように見守ろうという姿勢が一貫しているように感じました。
そしてその成長する姿を、本当に我が子であるかのように微笑んでお話しして下さいます。

子供達は、心の本質を持ち、他人の心の本質を直感的に知っています。
だからこそ、大人が、先生が、家族が、友人が、周りがそばにいるよ、
思っているよ、信じてるよという気持ちをまず最初にしっかり伝えて
安心感や愛情を持つからこそ、自分でやれることをやるんだという、
自立心を育むことができます。

これは防災(=命を守ること)にとっても、教育(=子供が自分で生きていけるように
すること)にとっても、全く同じであると思います。

片田先生は、人間の生死を分けるような極限とも言える状態と、
正面から向き合い、心から人の命の無事を願ってきたからこそ、
何が人を動かすのか、何で人が育つのか、人の心に本来備わっているものは
何なのか、といったことに、自然と気づかれたのだと思います。

「共感でしか人は育たない」

大人、子供に関わらず、人との付き合い方の真理として、
いつも心に持っていたい言葉です。
そして「共感」のあり方も、常に磨いていきたいと思います。